【節税対策:法人税】(全損)一定期間災害保障重視型定期保険

2019年01月26日

改正情報・相談事例

法人の節税対策の定番は、「生命保険」を活用することです。しかし、逓増定期保険やがん保険など過度の節税対策を封じるため、課税当局は、払い込んだ保険料の一部(主に2分の1)しか経費として認めないことに取扱いは規制してきました。

その中で、いま一番売れている節税用の生命保険が「一定期間災害保障重視型定期保険」と言われる保険です。
ネオファースト生命の資料です。

●日本生命
https://www.nissay.co.jp/hojin/shohin/keiei/zyutenkikan_chokiteiki/

●ネオファースト生命
http://neofirst.co.jp/product2/kigyo/kigyoindex.html

●マニュライフ生命
https://www.manulife.co.jp/prosperity-saiho

この保険の特徴は3つあります。

    1. 払い込んだ保険料が「全額損金(全損)」になること
    2. 掛捨てではなく、貯蓄性があり、高い解約返戻率であること(弊社の顧問先で契約したものは92~95%の解約返戻率です)
    3. 「前期期間」と「後期期間」とに分かれ、前期期間は災害での死亡に保険事由が限定されること

 後期期間はすべての死亡(病気など)が保険事由になり保険金が支払われますが、解約返戻率は前期期間が過ぎると逓減していってしまいます。保障目的で加入することはないでしょうから、前期期間で解約することを前提にした保険設計です。前期期間は5年、10年、15年があります。

 実は、この「一定期間災害保障重視型定期保険」は爆発的に売り上げたため、昨年後半から「金融庁」が調査に乗り出し、全損の取扱いが規制されるのではないかと噂になっていました。
週刊ダイヤモンド:節税目的の経営者向け大人気保険に「待った」をかけた金融庁vs生保の戦い

 2019年年始に得た情報では、解約返戻率の高い数社の生命保険会社の商品が、商品設計の変更を求められるに留まるようです。この数社は、おそらく2月末か3月末にいったん現在の商品を販売停止にし、その後、変更後の商品をリリースすると考えられます。変更後の商品の解約返戻率はおそらく現状よりも下げるでしょうから、現状の高い解約返戻率を狙って駆け込みで契約する法人が増加することが見込まれます。

 節税目的で「一定期間災害保障重視型定期保険」を契約しようとする場合、どの保険会社を選べば良いのか相談を受けます。その判断基準は、やはり複数の保険会社に設計書を作成してもらい、解約返戻率が最も高い保険会社を選ぶべきです。
 例えば、年間保険料500万円、前期期間10年間だと、保険料は10年間で5000万円払い込みます。A保険会社の解約返戻率が90%、B保険会社の解返戻率が95%の場合、解約返戻金の差がB保険会社の方が250万円多く戻ってきます。

 特定の一社の保険会社の設計書で判断することは危険です。