【税務調査】売上の計上もれは「役員賞与」として給与課税されるのか

2019年01月23日

税務調査

 以前と比べて現金取引が非常に少なくなり、売上を除外することはほとんどできなくなりました。しかし、業種によっては鉄くずや金属を買取業者に売却し、現金で受け取るケースがあります。この受け取った現金は「雑収入」として収入に計上しなければなりませんが、意図的か意図的でないかはさておき、収入計上もれが生じやすい項目です。

 買取業者も検収するために車両ナンバーを控えていたり、領収書発行がコンピューター化されていて、データ照会ができたります。現金取引だから収入計上しなくても税務署にばれないというのは安易な考えで、今は簡単にばれます。

 税務調査で収入計上もれが発覚した場合、会社は本来計上すべきであった収入を計上し、それに対する法人税が追徴課税されます。また、その現金は、一般的には社長が私的に費消していることが大半でしょうから、「役員賞与」として社長に所得税が課税されます。つまり、現金の収入計上もれがあった場合、法人と社長個人にそれぞれ追徴課税され、いわゆるダブルパンチになります。

 弊社では、現金の収入計上もれがあった場合に簡単に「役員賞与」と認定され、社長個人に所得税の追徴課税がされないよう、まずは「貸付金」または「現金」で処理できないか検討し、主張します。

これまでの税務調査で売上計上もれが役員賞与と認定されなかったケースについて教えて下さい。
 現金の収入計上もれがあった場合、こちらから主張しない限り、税務署は役員賞与で処理しようとします。役員賞与で処理できれば法人税だけではなく、所得税も追徴課税できるからです。

 弊社では、
(1)現金の収入計上もれが20万円、現金は会社で管理されておらず、簿外で費消されているケース
(2)現金の収入計上もれが300万円、現金は会社の金庫内で保管されており、費消されていないケース
があります。

(1)のケースは、現金が費消されており、貸付金の主張は困難なため、役員賞与として処理しました。
(2)のケースは、現金は費消されていないため、現金としての処理を主張し、2ヵ月ほど交渉に時間がかかりましたが、役員賞与の認定を回避することができました(税務署は、金額が多額であることを理由に役員賞与として認定しようとしていました)。

 税務調査で収入計上もれがあった場合に、なにも主張、交渉しない限り、税務署は役員賞与として認定し、所得税を追徴課税します。しかし、すべてのケースで「役員賞与」となる訳でもありません。