全損の節税用長期平準定期保険の有効性(いわゆる105ルール外し)

2014年10月05日

税法相談事例

節税対策として長期平準定期保険や逓増定期保険を活用することができます。これらの生命保険の場合、支払保険料の2分の1が損金となる商品設計が一般的です。
先日相談を受けたケースでは、ある保険代理店のセミナーで「長期平準定期保険について商品設計しだいでは支払保険料の全額が損金とすることができる」との話しがあり、この全損の商品設計は有効かどうかというものです。

全損の長期定期保険は節税対策として有効でしょうか。
まず全損の長期定期保険とはどのような商品設計か説明しましょう。
<長期平準定期保険の税務上の取扱い>
保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものは、保険期間の開始の時から当該保険期間の60%に相当する期間中は、支払保険料の2分の1は前払いとして資産計上が強制されます。

つまり、全損とするには「105」を超えないようにすればいいわけです。そうすれば支払保険料の全額が損金として計上でき、2分の1損金と比べて、より多くの経費を計上することができます。

では、次にこの全損の長期定期保険は節税対策として効果的なのでしょうか。
この判断ポイントは解約返戻率を見ることです。解約返戻率は、払込保険料に対する解約返戻金の割合であり、5,000万円保険料を支払って4,000万円解約返戻金が戻ってくるのであれば解約返戻率は80%ということになります。解約返戻率は当然に高いほど効果的といえます。45歳男性の全損の長期定期保険の場合、8年目の解約返戻率は保険会社10社で見積もりをとったら60%から75%でした。節税対策の生命保険としては一般的に85%から100%が望ましいと考えているため、全損の長期定期保険は財産形成という意味では魅力に乏しいでしょう。ただ、500万円の経費を生じさせたいというときに、2分の1損金の生命保険の場合は保険料として1,000万円を払い込まなければなりませんが、全損であれば500万円で済みます。資金繰りの面からはメリットがありますが、解約返戻率が低いため法人税を払っているのと差はほとんどありません。