【譲渡所得税】非居住者が国内の不動産を売却した場合の源泉徴収と確定申告

2016年05月11日

税法相談事例

 Aさんは海外転勤のため、日本から出国しました。海外勤務が1年以上となることから市役所に出国届を提出しました。

 出国以後、Aさんは、税務上「非居住者」に該当することなります。
※我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。

 その後、Aさんは日本にある不動産を売却しました。今回は、その売却に係る譲渡所得税の確定申告の相談です。

非居住者が国内の不動産を売却した場合、税務上注意することはありますか。
 非居住者が不動産を売却した場合、源泉徴収しなければならないかがポイントになります。
 
 具体的には、下記の要件のすべてを満たす場合は源泉徴収の必要はありません。
(1)買主が個人であること
(2)購入した個人が自己またはその親族の居住の用に供するためのものであること
(3)不動産の売買金額が1億円以下であること

 上記の要件を満たさない場合(例えば、買主が不動産業者の場合など)、不動産の買主は、売買代金を支払う際、売買代金の10.21%相当額を源泉徴収して税務署に納付しなければなりません。
 つまり、非居住者に支払われる金額は、支払金額の89.79%相当額となります。

 売主である非居住者は、譲渡所得として確定申告することで、源泉徴収された所得税を精算します。

 仲介の不動産業者が売主が非居住者である場合の源泉徴収の仕組みについて知識がないときもありますので注意が必要です。