【相続税】相続人が成年被後見人の場合の特別障害者控除の適用

2015年08月22日

税法相談事例

 相続税の障害者控除とは、相続税額の計算で、相続人が障害者に該当する場合、相続税額が軽減される制度です。

 障害者控除は、
(1)相続人が85歳未満の障害者であること
(2)日本国内に住所がある法定相続人であること
(3)相続や遺贈で財産を取得した時に障害者であること
が要件となっています。

 障害者控除の適用が受けられる場合、下記の算式により計算した金額が相続税額から控除できます。
・一般障害者  6万円×(85歳-相続開始時の年齢)
・特別障害者  12万円×(85歳-相続開始時の年齢)
※平成27年1月1日以後の相続開始の場合は、1年につき一般障害者は10万円、特別障害者は20万円となります。

 特別障害者とは、
(1)精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又は児童相談所,知的障害者更生相談所,精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた者
(2)精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級である者として記載されている者
(3)身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級である者として記載されている者
(4)(1)(2)(3)に掲げる者のほか,戦傷病者手帳に精神上又は身体上の障害の程度が恩給法別表第一号表ノ二の特別項症から第三項症までである者として記載されている者
(5)(3)(4)に掲げる者のほか,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第11条第1項の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者
(6)常に就床を要し,複雑な介護を要する者のうち,精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者
(7)精神又は身体に障害のある年齢65歳以上の者で,精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者

 今回の相談は、相続人の方が成年被後見人の場合に、相続税の計算で特別障害者として障害者控除の適用を受けることができるかです。
 なお、成年被後見人とは、精神上の障害により判断能力を欠くとして、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人をいい、本人の代理として成年後見人が財産管理などを行います。

相続人が成年被後見人となっていますが、障害者手帳は所持していません。相続税の障害者控除の適用は受けられませんか。
成年被後見人については、平成24年8月31日付名古屋国税局より、所得税法上、障害者控除の対象となる特別障害者に該当するとされています。
 また、平成26年3月14日付東京国税局より、相続税法上も特別障害者に該当するという見解がでました。
 これによりご相談の相続人が成年被後見人である場合、所得税法上も相続税法上も特別障害者に該当し、障害者控除の適用を受けることができます。
 なお、後見開始の審判の事実は登記事項証明書により確認することができます。