【所得税】青色事業専従者給与の「専従」の判断~役員報酬がある配偶者

2016年03月18日

税法相談事例

 個人で不動産所得が事業的規模になると、一気に節税対策の選択肢が広がります。
 
 その一つが「青色事業専従者給与」です。

 青色事業専従者給与とは、青色申告である居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢15歳未満である者を除く)で専らその居住者の営む事業に従事するもの(以下「青色事業専従者」という)が給与の支払いを受けた場合、労務の対価として相当である認められる額は事業所得、不動産所得の経費に計上することができる制度です。

 例えば、現在、不動産貸付業で1,000万円の所得がある人が、配偶者を青色事業専従者として年間300万円の給料を支払ったとすると、不動産所得が700万円に下がります。配偶者は給与収入300万円になり所得税、住民税がかかりますが、所得税は超過累進課税であるため、所得分散することにより世帯の税負担は軽減できます。

 このように節税対策として青色事業専従者給与はぜひ活用したい制度ですが、問題は、親族が事業に専ら従事するかどうかです。

 「専らその居住者の営む事業に従事するもの」かどうかは、その事業に専ら従事する期間がその年を通じて6ヵ月を超えるかどうかによることとされています。ただし、親族について、他に職業を有する者(その職業に従事する期間が短い者その他事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者を除く)であるときは、その期間は事業に専ら従事する期間に含まれないものとされています。

 つまり、基本的には兼業はダメだということです。

配偶者がパート収入がある場合や不動産管理会社の役員で役員報酬がある場合は、青色事業専従者給与は否認されますか。
 配偶者にパート収入があっても青色事業専従者として認められる場合があります。たとえば、週2日前後しかパートとして働いていないときや、パートとして1日2、3時間しか働いていないときなどで、事業に専ら従事することが妨げられていないときなどです。

 また、法人の役員であっても非常勤役員であれば、上記のパートと同様に青色事業専従者として認められる場合があります。