【所得税】母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用の医療費控除

2014年12月05日

税法改正情報

 国税庁より出生前遺伝学的検査(本件検査)にかかる費用が医療費控除の対象となるか回答が公表されました。

[本件検査の概要]
 本件検査は、妊婦から採血することにより行われ、母体の血液中に存在する胎児由来のDNA及び母体由来のDNAに含まれる遺伝情報を解析することにより、各染色体に由来するDNA断片の量の差異を求め、それらの比較から胎児の特定の染色体数的異常の診断に結びつけるものです。また、本件検査を行った結果、染色体の数的異常が発見されたとしても、それが治療につながるものではないとされています。
 なお、本件検査を受けるかどうかは妊婦の任意とされています。

【回答】
 医療費控除の対象とはなりません。

 医師又は歯科医師による診療等の対価として支払われるものは医療費控除に該当しますが、いわゆる人間ドックその他の健康診断のように疾病の治療を伴うものではないものは、医療費控除の対象とはなりません。しかし、健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、治療に先だって行われる診察と同様に考えることができますので、その健康診断のための費用も医療費控除に含まれます(所得税基本通達73-4)。
 本件検査は、胎児の染色体の数的異常を調べるものであって、診断の一種であり、また、本件検査を行った結果、染色体の数的異常が発見されたとしても、それが治療につながらないとされていることからすると、本件検査は、妊婦や胎児の治療に先だって行われる診療等と解することはできません。
 したがって、本件検査に係る費用は、医療費控除の対象となりません。