社会保険料の支払債務は当該月の末日における従業員の在職の事実をもって確定し、その翌月末に引落しされます。したがって、決算時に翌月末に引落しとなる社会保険料を未払計上することになります。

 今回は、決算時の社会保険料の未払計上で誤りの多い2つのケースをご紹介します。
(ケース1)決算時に賞与を未払計上した場合の当該賞与に係る社会保険料を未払計上できるのか
(ケース2)3月20日決算の場合に、4月末に引落しとなる社会保険料を日数按分(20日/31日)により未払計上できるのか

(ケース1)決算時に賞与を未払計上した場合の当該賞与に係る社会保険料を未払計上できるのか
 使用人に対する賞与の損金算入時期は、原則としてその支払日となりますが、賞与の損金算入時期の例外として(1)支給を受けるすべての使用人に対して各人ごとの支給額を通知していること、(2)通知した金額を通知したすべての使用人に対し、通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1ヵ月以内に支払っていること、(3)その支給額につき通知した日の属する事業年度において損金経理をしていることの3つの要件のすべてを満たす場合には、その賞与の額を通知した日の属する事業年度において未払計上し、損金の額に算入することができます。
 ところで、賞与に対する社会保険料の支払義務が確定するのは、実際に賞与の「支給」があった日の月末となります。賞与を未払計上した時点では社会保険料の債務が確定していないため、賞与に係る社会保険料を未払計上することはできません。
(ケース2)3月20日決算の場合に、4月末に引落しとなる社会保険料を日数按分(20日/31日)により未払計上できるのか。
 ご質問のような日数按分による社会保険料の未払計上は認められません。

 下記の国税庁の質疑応答事例が参考になります。

【照会要旨】
 A(株)(2月20日決算)は、A(株)の負担すべき社会保険料の額について、期末の2月20日時点では、当月分の社会保険料の実額が明らかでないことから2月1日から決算期末日である2月20日に係る社会保険料の額を見積額で計算し、継続的に法定福利費(販売費及び一般管理費として原価外処理)として当該事業年度の損金の額に算入することを予定しています。
 具体的には、1月分の納付実額を基礎にこれを日数あん分(2/3)した金額を2月1日から2月20日に係る社会保険料の額として損金計上し、翌期に2月分の納入告知書が発行されて2月分(2月1日~2月28日分)の納付額が明らかとなった時点(3月)で前期末の見積計上額を洗替処理により調整する予定です。
 法人税基本通達9-3-2((社会保険料の損金算入の時期))では、社会保険料は当該保険料の額の計算の対象となった月の末日(本件の場合には2月末日)の属する事業年度の損金の額に算入することができることとされていますが、本件のように毎期継続的に見積計上し、翌期に調整する処理をしている場合には、社会保険料の見積額を当該事業年度の損金の額に算入しても差し支えありませんか。

【回答要旨】
 法人が負担すべき社会保険料の額で月末の到来しない月に係るものについては、前月等の納付実績を基礎として合理的に見積もったとしても、当該見積額を損金の額に算入することは認められません。
 したがって、法人の事業年度の末日が月末でない法人については、当該末日を含む月の社会保険料の額については当該事業年度の損金の額に算入することはできないことになります。

(理由)
 法人税法上、当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額とされています(法人税法第22条第3項第2号)。
 そして、法人が負担する社会保険料の額については、当該保険料の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度において損金の額に算入することができることとされていますが(法人税基本通達9-3-2)、これは、法人が負担する社会保険料は、被保険者が月末において在職している場合には、同者に係る保険料を翌月末日までに納付することとなり、被保険者が月の中途で退職した場合には、同者の退職月に係る保険料は納付する義務はない(健康保険法第156条第3項、厚生年金保険法第81条及び第19条第1項)ことによるものです。
 したがって、法人の負担する各月の社会保険料の支払債務は当該月の末日における従業員の在職の事実をもって確定することになり、これを本件に当てはめると、2月分の社会保険料の支払債務が確定するのは2月の末日となりますから、法人が、前月(1月)の実績を基礎として計算した見積額を当月の20日分(2月1日~2月20日)に係る社会保険料の額として損金の額に算入することは認められません。