国外財産調書制度が平成26年1月から開始され、毎年12月末時点で国外に5,000万円超の財産がある場合、翌年3月15日までに財産内容を記載した国外財産調書を税務署に提出しなければなりません。
 
 国外財産調書制度は、国外財産から生じる所得を国内で申告しないケースや、相続税対策で国外に財産を移転させ申告しないケースが増加していることから、国外財産を捕捉するための創設されました。

 この制度は、アメとムチが用意されています。国外財産調書を期限内に提出した場合には、国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税・相続税の申告もれが生じたときでも、その国外財産に係る過少申告加算税等が5%軽減されます。これがアメです。
 一方、ムチは、(1)国外財産調書を提出期限内に提出しなかった場合又は提出期限内に提出された国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合 (記載が不十分と認められる場合を含みます。)に、その国外財産に関して所得税の申告もれが生じたときは、その国外財産に係る過少申告加算税等が5%加重されます。また(2)国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合又は国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。

 今回、この国外財産調書が未提出で、国外財産から得られた所得を申告していなかったとして、所得税が追徴課税された方に対し、通常よりも5%高い15%の過少申告加算税が適用されたようです。5%加重は制度が創設されてから初めての適用のようです。

5,000万円超かどうか判定する際、外貨建てからの円換算はどのように行えばよいでしょうか。
国外財産の価額が外国通貨で表示される場合、円換算は、その年の12月31日における外国為替の売買相場により行うものとされています。具体的には、国外財産調書を提出する方の取引金融機関が公表するその年の12月31日における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)又はこれに準ずる相場(同日に当該相場がない場合には、同日前の相場のうち、同日に最も近い日の相場)により円換算します。なお、国外財産が預貯金等で、取引金融機関が特定されている場合には、その預貯金等を預入れている金融機関が公表する相場により円換算します。
国外財産調書に記載する国外財産の価額は購入時の金額でよいのでしょうか。国外の財産のため時価の把握が困難なものもありますが。
国外財産調書に記載する国外財産の価額は、その年の12月31 日における「時価」又は「見積価額」によることとされています。
 これは、国外財産の価額について、その年の12月31日における「時価」の算定が困難な場合なども考えられることから、国外財産調書を提出される方の事務負担等を軽減する観 点から時価に準ずるものとして「見積価額」によることを認めることとしているものです。

 国外財産の「時価」とは、その年の12月31日における国外財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいいます。その価額は、国外財産の種類に応じて、動産及び不動産等については専門家による鑑定評価額、上場株式等については、金融商品取引所の公表する同日の最終価格等となります。

 国外財産の「見積価額」とは、その国外財産の種類等に応じて、次の方法で算定した価 額をいいます。
・事業所得の基因となる棚卸資産 → その年の12月31日における「棚卸資産の評価額」
・不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得に係る減価償却資産 → その年の12月31 日における「減価償却資産の償却後の価額」
・上記以外の財産 → その年の12月31日における「国外財産の現況に応じ、その財産の取得価額や売買実例価額などを基に、合理的な方法により算定した価額」

 なお、国外財産調書に記載する国外財産の価額についても、相続税の財産評価基本通達で定める方法により評価した価額としても問題ありません。